労働者党機関紙『海つばめ』第1501号
2025年6月22日
労働者党機関紙『海つばめ』第1501号 2025年6月22日
目次
【1面トップ】
闘いに背を向ける立憲・野田――内閣不信任決議案提出断念
【1面サブ】
イスラエルによるイラン攻撃糾弾
【飛耳長目】
【2面トップ】
トランプを頂く米国は暗愚な排外主義大国へ
【2面サブ】
ドル基軸体制の危機――米国の凋落とともに深まる
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【一面トップ】
闘いに背を向ける立憲・野田
――内閣不信任決議案提出断念
立憲民主党は、少数与党である石破政権に対し不信任決議案を提出できる立場にありながら、提出を見送った。野田代表は石破政権の政策後退を批判しながらも、不信任案提出による「政治空白」を懸念し、政権維持に加担する姿勢を示した。石破政権は、裏金問題や物価高への対策に失敗し、国民に背を向けた政策を続けているが、関税問題を「国難」と位置づけ、超党派での協力を演出し、野党の不信任提出を牽制している。
立憲のみならず、共産党もこの「国難」論に同調し、政府の政策に対して対決姿勢をとらない。これは資本主義国家の利益を労働者の利益と混同し、ブルジョア政治に取り込まれている証左とされる。また、立憲が不信任案提出にあたって維新や国民民主との共同提出にこだわる点も、結局のところ党利党略であり、主体性の欠如を示すものだと批判している。
記事は最後に、こうした既成政党に期待するのではなく、労働者が団結し、賃金アップと生活条件の改善を掲げて、自ら資本主義に立ち向かう闘いを発展させることを呼びかけている。
【1面サブ】
イスラエルによるイラン攻撃糾弾!
2024年6月13日、イスラエルはイラン各地(首都テヘランを含む)を大規模に空爆し、核関連施設や軍事拠点などを破壊、軍幹部や科学者、市民が犠牲となった。イランは「宣戦布告に等しい」として、100機以上のドローンで反撃し、両国間の軍事的緊張が激化している。
イスラエルはこの攻撃を「自衛」と主張しているが、イランのウラン濃縮が核兵器レベルには至っていないことや、直前まで米国と交渉を進めていた事実から、その正当性は疑問視される。交渉の破綻と中東の緊張激化を招いたこの攻撃には、米国の責任も大きく、イスラエルの単独行動とするには無理がある。
記事は、こうした軍事的覇権争いに対して労働者が批判的立場を取るべきだと主張。イスラエルのみならず、イランもまた宗教国家として労働者運動を弾圧しており、どちらの国家体制にも組しない労働者階級の立場からの国際主義的連帯の必要性を訴えている。
【2面トップ】
トランプを頂く米国は
暗愚な排外主義大国へ
アメリカでは、トランプの排外主義と権威主義的政治手法に対する反発が強まりつつある。6月14日の「ノー・キングス」集会には数百万人が参加し、トランプの軍事パレードを批判した。だが、トランプは軍隊を「排外主義の実動部隊」として称賛し、実際に移民摘発に州兵・海兵隊を動員した。
特に民主党の牙城であるカリフォルニア州への攻撃(強制捜査、州法無効化など)は、次期大統領選を見据えた政治的復讐とも言える。支持率が低迷する中で、移民問題を利用して注目を集めようとする「自作自演」が展開されている。
経済・外交政策も行き詰まりを見せており、中国との通商問題、製造業復活、関税政策などの成果は乏しい。トランプの施策には共和党支持層からの期待もあるが、低所得者層への悪影響も表面化している。
本稿では、トランプの独裁的傾向と共和党の従属化を指摘しつつ、分断されたアメリカ社会を変革する力は、資本と闘う労働者の組織的闘いにあると結論づけている。
【2面サブ】
ドル基軸体制の危機
――米国の凋落とともに深まる
本記事は、現在の世界通貨体制の根幹である「ドル基軸体制」がアメリカの衰退とともに動揺・危機に陥っていることを分析し、資本主義体制の構造的問題として位置づけている。
◆米国の衰退と通貨不安
トランプ政権が唱える「相互関税」は、戦後のドル支配と自由貿易体制を否定し、自国産業保護に舵を切ったもの。これはアメリカ経済の凋落と、巨額の国際収支赤字・対外債務(26兆ドル)の増大を反映している。米国債の投げ売りなど、市場の信用不安が顕在化しつつある。
◆IMF体制の成り立ちと破綻
戦後体制では「金本位制」を補う形で、ドルが金に裏打ちされた「準世界通貨」として使われた(固定為替・金ドル本位制)。しかし、1971年の金兌換停止により、ドルは完全に「不換紙幣」と化し、以後の世界通貨体制は不安定化。各国の通貨も信用貨幣でしかなく、インフレや通貨危機の根源となっている。
◆ドル体制の構造的危機
現在のドル基軸体制は、アメリカの国力(経済的・軍事的・金融的)に依存するが、国際的な信用低下により、すでにその「特権」は形骸化している。トランプが中国・日本の「為替操作」に苛立ちを示すのも、ドル支配の基盤が揺らいでいることの表れ。学者の間でも、ケインズの構想に倣い「超国家的通貨体制」の再評価が進んでいるが、それ自体も幻想的な代案にすぎない。
◆労働者階級の視座から
通貨体制の混乱は、資本主義の私的労働・商品交換の矛盾の表現であり、貨幣の本質的問題。労働者階級は、こうした通貨体制の危機を超えて、商品・貨幣・国家の支配を克服した「共同体社会」の建設を目指すべきだと結論づけている。
*This article was originally published in the June 22, 2025 edition of Umitsubame, the official newspaper of the Workers' Party for the
Liberation of Labor (Japan). Translations into English, Spanish, and
French have been provided for international readership. Comments are
welcome.*
UMITSUBAME No.1501 2025-6-22
<En>
Constitutional Democratic Party's Noda Turns His Back on the Struggle
— Abandons No-Confidence Motion Against the Cabinet
Condemnation of Israel's Attack on Iran!
Under Trump’s Leadership, the U.S. Becomes a Xenophobic and Irrational Superpower
The Crisis of the Dollar-Based System
— Deepening with America's Decline
<Es>
Noda del Partido Democrático Constitucional da la espalda a la lucha
— Renuncia a presentar una moción de censura contra el gabinete
¡Condena al ataque israelí contra Irán!
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